設計を志望して入社。購買課への想定外の配属が価値観を変えるきっかけに
私は学生時代、流体力学や材料力学を専門に勉強していました。卒業研究では工場の排熱を暖房に利用するシミュレーションに取り組みました。就職活動を始めるまで就職先はどこでも良いと思っていました。しかし規模を問わず様々な業種の会社を調べているうちに、私は大手に向いていないと思い、中小企業でやりたいことをやりたいと思いました。設計ができる会社を探す中で出会ったのが白光です。
入社を決めた一番大きな理由は、採用担当の方が熱心に誘ってくださったことです。また会社の特別記念日にもご縁を感じました。白光には会社指定休日が2日設けられています。黄綬褒章(*)の授与を受けた5月27日と、会長の誕生日である11月27日です。そのうち会長の誕生日が私の誕生日と重なっています。制度が変わらない限りずっと誕生日は休みになるんだなと思ったことも、入社を決めた理由の2割ぐらいを占めています。
*黄綬褒章:農業、商業、工業等の業務に精励し、他の模範となるような技術や事績を有する人に贈られる褒賞
入社後は、4つの部署を経験してきました。次に生産ライン設計課で製品が出来上がる工程を学び、商品開発課で棒こてやステーション型はんだこての設計に携わった後、購買を経て、再び商品開発課に戻って自動はんだ付けロボットの設計を担当しました。そして5年前から生産ライン設計とロボット設計を兼任しています。
私にとって想定外だったのは、購買への配属でした。毎日、朝から電話で業者の方と話すことが日課でしたが、私は人見知りが激しく、人としゃべることも苦手でした。かかってきた電話を取ることすらお腹が痛くなるぐらい苦痛でした。
ただ結果的に最も勉強になったのは購買課の経験です。3年弱の期間でしたが、自分の価値観が大きく変わりました。「商品設計をするために、どういう部品を、どういうところから調達して、どういう作り方をしているのか、業者の方ときちんと顔を合わせて話をしなさい」という課題を課せられ、実際に現場を見られたことは、16年間で最も勉強になりました。面と向かって話すことによって、課題がクリアできるという経験もしましたし、話し方を含めて人と人との付き合いがいかに重要かを知る機会にもなりました。今では人と話すことを苦に感じることはありません。
もちろん失敗もありました。例えば値上げの話をされたことを忘れて、放置してしまい、上司に報告しないまま注文書を出して怒られたことがあります。購買においては数字の正確性が重要です。そのためミスがないように気をつけてはいましたが失敗をしてしまいました。このような失敗を重ねながら、設計者としてだけではなく、社会人としての基礎を身につけることができました。
好きなメーカーの設備を選び、自分でプログラムを組んで物を作る自由さ
設計の仕事は非常に楽しいです。はんだこて、ロボット、生産ライン、それぞれの楽しさはありますが、いずれにしても想像していた以上の経験をさせていただいています。特に記憶に残っているのは、入社して5年目に初めて設計を担当した案件です。
発売から30年ぐらい経っていた棒こてのリニューアルする際、たまたま私を選んでいただいたのです。自分で図面を引いて業者さんと話をしながら仕上げた製品がホームセンターに陳列されているのを見た時はとても感動しました。
現在は生産ライン設計とロボット設計を兼任していますが、メインは生産ライン設計です。新商品のライン組み立てと、それに伴う新規の設備立ち上げです。係長として全体のマネジメントに携わっています。
兼任するようになったきっかけは、ロボットの設計一本で仕事をしていた時に、生産工程を見直す必要があると感じて、上司に意見をしたことでした。「自分でやってみる気持ちはあるか」と問われたので「やる気はあります」と答え、現在に至っています。
生産ライン設計課の仕事は、生産ラインの設計をして、社内で組み立ててもらった後、工場に引き渡すまでが仕事です。基本的に製品を作る工程は、製品の設計者がある程度のプランを作ります。そのプランに基づきつつ、私達は生産のプロとしての立場から、製品の設計者が想定している工数時間と予算に収めるにはどう作らなければいけないかを意見しながら調整していきます。これまで購買や商品開発課など様々な部署を経験しながら培った物を目利きするスキルが役に立っています。
生産ライン設計の仕事の魅力は、自分が好きなように自由にできるところです。作るべき物は決まっていますので、我々は品質を担保して作れば良いだけです。自分が好きなように設計して、エアシリンダーやモーター、PLCなど、自分が好きなメーカーの設備を予算内で選んで、自分でプログラムを組んでできる。製品設計とはまた違った面白さがあります。
ただ、企画が上がってから発売日までのスケジュールも決まっていますので、製品開発に時間がかかると、我々のスケジュールが圧迫されてしまうところが悩みの種です。
仕事はがむしゃらに楽しく。きつい時もやりがいを持てたことが継続の理由
私が大切にしてきたことは、仕事にはきついこともありますが、楽しんでやるということです。それは祖父からの教えでもあります。「仕事はがむしゃらにやりなさい。ただがむしゃらにやるだけではなく、抜くべき時は抜くことも必要であり、仕事は楽しむように」と教えられたことを、日頃から意識しています。
もう1つはコミュニケーションです。特に部下とは日頃からしっかりコミュニケーションを取っていないと、仕事を指示した時にズレが生じてしまうことがあります。私自身が指示ミスを起こすこともありえます。しかし普段から意思疎通ができていれば、リカバリーできることもありますので、気をつけています。
今後取り組みたいことは、工場全体の自動化です。現在、こて先やステーション関係の生産は、ネジ締めもコネクタを挿す作業も、基本的には手作業で行っています。一機種でも良いので、部品を置いておけば自動的に組み立てて電気検査まで完結させられるような生産ラインを実現してみたいです。
私は新卒で白光に入社して16年目に入りました。ここまで続けられたのは、常に仕事にやりがいを感じてきたからだと思っています。仕事に行きたくないと思う時もありましたが、そんな時もやりがいと目標を失うことはありませんでした。また大きな不満を持ったことがありません。それが転職に踏み出さなかった一番の理由です。
私が一緒に働きたいと思うのは、嘘をつかない人、真面目な人、コミュニケーションがとれる人です。勉強の成績以前に、この3つは基本だと思っています。
就職活動をしている学生にお伝えしたいことは、”今”を楽しむことの大切さです。社会人になると時間は限られてきます。遊びにしろ、勉強にしろ、経験したことは、意外なところで役に立ちます。いろんな人と出会って、話すことも経験の1つです。いろいろなことに目を向けて、経験できるうちにいろいろなことを経験しておけば、就職してからも広い視野で物事を見られるようになるはずです。