商品開発
商品開発1課 マネージャー・Nさん 新卒採用 入社22年目
商品開発2課 Mさん 新卒採用 入社6年目
商品開発
商品開発1課 マネージャー・Nさん 新卒採用 入社22年目
商品開発2課 Mさん 新卒採用 入社6年目
‒ 商品開発課の1課と2課は、それぞれ、やっていることが違うのですか。
Nさん 白光の商品開発課は1課と2課に分かれてはいますが、異なる役割があるわけではありません。それぞれに電気、ソフト、メカのエンジニアいます。人数割りをしているようなものですので、同じプロジェクトチームに1課も2課も混ざって仕事をしています。2課の方がTさんをはじめ若手が多いですが、カラーも極端に違うわけではありません。
課ごとのカラーというよりは、エンジニア一人ひとりがとても個性的です。技術者はみんな、一癖も二癖もありますね。「そこにこだわりがあるんだ」と思えば、「あ、そこはこだわらないんだ」みたいな、こだわるポイントも違います。そもそも技術のカテゴリーが違えば、興味の対象も違います。最近の若い技術者は、情報の仕入れ方が上手ですね。
‒ Mさんは白光にどういう経緯で入社したのですか。
Mさん 私は中学生の頃から日常的にはんだこてに触れる機会が沢山ありました。まず、はまったのが電子工作です。家電を分解して、中身を見て壊してみたり、ちょっとLEDを光らせたり、ラジオを作ってみたりしていました。また高校生から大学にかけては、趣味で針金細工(はんだ付けアートと呼ばれることもあります)に夢中になりました。電子部品を使って、金属を立体的に組み合わせてパズルのようなことをしていました。それがきっかけで、はんだに関係した業界を見てみたいと思うようになり、いろいろな会社を受けて白光に入社しました。会社見学会で話を聞いたときに、はんだこてのシェアNo.1ということを知り、面白そうな会社だし、設計の仕事も面白そうだなと思いました。
‒ Nさんが、技術に関心を持ち始めたきっかけをお話しください。
Nさん 実は、私は技術に関心があったわけではないのです。高専に進学した理由も不純で、受験がみんなよりも早く終わるということだけでした。国立の高専は、他の高校よりも受験が早く終わります。中学生の時に「みんなよりも早く受験勉強が終わった」と言いたいという理由だけで受験しました。
だからMさんの話を聞いて、改めて経緯が全然違うなと思いました。私は就職活動を始めるまで、はんだこてにはほぼ興味がありませんでした。就活時にこういう会社があるのかと衝撃を受けて、なんか面白そうだなと思って入社しました。かたやMさんは、はんだに興味を持ち狙いを定めて就職活動をして入社したんですね。
Mさん 私の場合ははんだが身近にあっただけです。作る楽しみにはまって、ひたすら金属材の作品作りをしていました。電子工作も回路を作ることが楽しいのではなく、組み立てることが楽しかったのです。はんだでくっつけて形にするというところに夢中になりました。
Nさん 私も高専で学びましたので、授業の中では使っていましたが、個人的に使うことは全くありませんでした。高専にもいろいろな人がいて、高専ロボコンに挑戦する学生もいましたが、私はそういったことにも興味はありませんでした。あくまでも仕事として技術者という道を選びました。
‒ Mさんは現在はどのようなお仕事をされているのですか?
Mさん 私は主にこて先の性能評価、安全性の検証などを担当しています。入社して最初の3年間は研修形で、商品開発、生産設備設計、Team ROBOHAKKOを順番に回って正式に商品開発に配属になり、現在に至っています。
Nさんの頃はロボットはなかったと思いますが、同じような段階を踏んでこられたのですか。
Nさん 我々が新卒で入社した頃は、エンジニアがそんなに沢山いなかったので、最初から現場に入って設計をしながら、性能評価や検証もしていました。
Mさん、大学の専攻は?
Mさん 工学部の電気学科です。一応、回路が専門になるのかな。結構、幅広く学ぶ学校ではありましたので、回路だけではありません。電気に関わるもの全般の勉強をしてきました。
Nさん 私は制御でしたが、Mさんと多分似たような感じだと思います。メカもやるし、ソフトも学ぶ。電気も学ぶ。総合的に学びました。
‒ これまでに苦労したこと、大変だったこと、失敗したことなどはありますか?
Mさん 評価・検証の仕事で苦労することは、当社の商品はこて先の種類が非常に多く、全てのコテ先の検証をしようとすると、タスク量が膨大で苦労します。それはひたすらに粛々とやっていくしかありません。
また、大きな失敗はまだありませんが、小さな失敗はあります。よくあるのは試験条件を間違えてしまうことです。また、途中で条件が変わってしまうと、変わる前に取ったデータと、変更後のデータが合わなくなることもあります。その場合は、やり直さなければいけないことも多いですし、何とか使えるように頑張って修正することもあります。
Nさん Mさんは今、検証がメインのステージですが、設計に入っていくと自分が設計したものを検証しなければいけません。そうすると目が曇るんですよ。自分が設計しているので間違っていないはずだという気持ちは、設計者の中のどこかにあります。ここはもう十分に考えたから大丈夫だと思い込み、それ以外の、心配なところばかり検証するようになるのです。そこで何が起こるかというと、大丈夫だと思い込んでいたところでミスが見つかります。意外にも、心配していたところは大丈夫な場合が多いのです。私は22年間設計をしてきましたが、担当した商品では、どこかで小さな失敗をしています。「同じ失敗は繰り返さない」とよく言われますが、商品は毎回違います。本人はしていないつもりでも、傍から見ると同じ失敗です。
Mさん 失敗した時のリカバリーの仕方はあるんですか?
Nさん どの段階で起きた失敗かによりますが、最も重たい失敗は、市場に出した後にお客様のところで判明する失敗です。その場合は超特急で回収して、その時のベストな対応を取ります。出荷する手前で判明した場合も回収して直します。
‒ 成功体験はありますか?
Nさん ヒット商品を開発した経験はあります。例えばコストパフォーマンスを追求したミドルレンジのステーションはんだこて『FX-888シリーズ』があります。ハイエンドに匹敵する性能を持ちながらも手頃な価格帯に抑えるための工夫を施したシリーズで、2008年の初代発売以来、中国をはじめとする海外のユーザーに聞き取りをしながら改良を加え、現在は3代目を販売しています。特に2012年3月に発売され、2024年3月に販売を終了した2代目の『FX-888D』はピーク時にグローバルで年間7万台から8万台売れました。
Mさん 私はまだ社会に影響を与えているという実感を伴うような仕事に関わった経験がありません。ただ、自分が関わった設備がきちんと動いて商品を作っている様子を見たり、関わった商品が出荷されたりする時は嬉しいです。また数多くの商品に触れることで、技術的な知識も増えてきました。それによって言われたことだけではなく、自分なりに考えて仕事ができるようになりました。少しずつでも成長している実感はあります。
‒ 商品開発課の同僚の方で、すごいなあと思う方はいらっしゃいますか。
Mさん 設計から検証まで全部、バリバリこなしている先輩がいます。設計に関しても、電気の知識、メカの知識、ソフトの知識を持って幅広くできる方を見ていると、「こんなに全部一人でやっちゃうんだ、すごいな」と思います。
Nさん 私は最近、業務の中心がマネジメントに移ってきたこともあり、技術そのものよりも、プレゼン力に関心が移ってきました。大きな会議の場で、堂々とプレゼンできる先輩方がいたらすごいなと思います。ほんの些細なことでも、すごく重要なことのように表現してアピールできる。そのためには知識量も必要です。そんな言い方ができるのかと感心して聞いています。とても勉強になります。
Mさんはまだ20代。将来の目標はありますか。
Mさん まだ明確な目標は定まっていませんが、いろんなことに関わっていけたら良いですね。商品開発の全体に深く関われるエンジニアになれたら良いなと感じてはいます。
Nさん 私の願望でもありますが、今、商品開発課全体を見ると、若手が少ないんですよね。その中で、Mさんは貴重な若手です。我々の世代は電気、メカ、と分けて来て、私は電気を専門にやっていますが、Mさんたち若手には、そういった境界線を設けずに、できるところを伸ばして、メカも電気もソフトもできるエンジニアになって欲しいです。
ユーティリティプレイヤーが増えるとリソース不足もある程度は解消されます。メカ設計が足りないからMさんお願いという風にあてがうことができます。Mさんは若いので伸びしろがありますので、ぜひ目指して欲しいですね。
‒ MさんからNさんに聞きたいことはありませんか。
Mさん 設計をするときに「これだけは譲れない」ということはありますか?
Nさん 「これだけは譲れない」というのは、自分で持っておけば良いものです。誰かに「これだけは譲らないでおけよ」っていう類のものではありません。自分の譲れないところは自分がしっかり持っておけば良いと思います。
ただ、アドバイスをするとすれば、Mさんは頑固なところがありますよね。こうと思ったら結構突き進むような意思を持っていますよね。その気持ちは大切にしながらも、一旦聞いてみることは大切だと思います。一旦受け止めて、「そんな意見もありますね」って言えたら、技術者としても成長できるのではないでしょうか。
Mさん 私は思ったことは伝えた方が良いと思っています。例えば検証や評価の報告をする際は、「こういう結果が出てますけど、このままでいいでしょうかね」ということを提案します。やはり測定する自分が製品を最も頻繁に触りますので、その中で「もっとこうしたらいいんじゃないの」と思うことがあれば、報告書に添えて伝えるようにしています。
ただ、それをどう捉えられているのかは、少し気になります。生意気だと思われているのかもしれません。
Nさん 私は悪いとは思っていません。何も言わずに「言われたことだけやります」という人もいますが、それではその人のことがわからない。世代が上になるほど、若い人には思っていることを言ってほしいと思っていますよ。
ただ、一旦は受け止めて、相手の言っていることに対する理解を示して、話の流れを作りながら、自分の意見を伝えることが大切です。その流れを作らずにいきなりぶつけると逆に受け入れられなくなります。
Mさん 怒られました(笑)
Nさん いやいや(笑)。決して怒っているわけではありません。自分の意思を持って表現できるというのはMさんの長所です。その長所を活かすには表現の仕方を変えることも必要です。そうすれば成長できると思います。
Mさん 確かに立ち回り方についてはよく指摘されます。勉強させていただきたいなと思っています。
Nさん 検証をしている人だからこそ客観的に見えることがあります。Mさんの意見は貴重です。一旦は受け入れて、場が和んでから、自分の意見を提示すれば相手も受け入れやすいと思います。
‒ 商品開発課を今後どんな風に発展させていきたいと思っていますか。
Mさん 私は“温度コントロールのあらゆるニーズに応える”というミッションのもと、はんだこて以外にも、ホットエアやヒーターなど工場で使われるものから、ウッドバーニングやカービングなどホビー系商品まで、熱源を利用した幅広い商品を扱っていることが白光の魅力だと思っています。これからもその路線で、幅広い商品開発ができたら良いなと思っています。
Nさん 私達が経営層からよく言われているのは「塩草(本社所在地)にいるな」ということです。私達商品開発課のエンジニアは、普段、会社の中に閉じこもって、設計したり、検証したりしています。しかし、今後は極力外に出ていくことが大切だと思っています。お客様の製造現場や展示会など、設計者が積極的に社外に出ていって、その中でいろいろなことを学んで、製品づくりやサービスに生かしていく、そんな部署になれたら嬉しいです。
ただ、何をするにしてもまず欠かせないことは人材育成です。若手を育てなければ未来はありません。
‒ それぞれのビジョンに向けて、ご自身たちはどのような活躍をしていきたいとお考えですか。
Mさん 私の場合、まだ本格的に設計に携わっていませんので、少しでも早く、自分が作ったものを世に出せるエンジニアになりたいです。企画にも関わってみたいと思っています。あれもこれもやりたいタイプなので、同世代の、同じような志向を持った人に入っていただいて、切磋琢磨しながら成長していきたいです。
Nさん 私はマネージャーとしての目標と、個人的な願望の2つがあります。マネージャーとしては、後輩の設計者が伸び伸びと良い商品を生み出していける、そんな環境を作ることが目標です。その一方で、個人的には、ずっと設計に携わっていたいと思っています。会社から求められる役割を精一杯果たしながら、細々とでも設計に携わり続けたいと思っています。